雑誌編集者に必要とされる能力を5つにまとめました。
具体的な仕事の流れについては過去記事を参照してください。
5つの能力
文章力 – Writing
情報を正しくわかりやすく伝えるという仕事上、文章力は必須です。
仕事上のスムーズな意思疎通にも必須となります。
文章はその人自身を表すので、生きていくために必要な能力と言っても過言ではないでしょう。
もちろん小説家や文豪レベルの名文家である必要はありません。
必要なのは、簡潔で論理的に正しい文章を書く能力です。
上記の基本を習得した上で、勢いがあったり一風変わっていたりする魅力的な文章を書けるようになれば、編集者としての価値は高まります。
ディレクション力 – Direction
- スケジュール管理
- クオリティ管理
- コミュニケーション力
といった仕事を円滑に進行する力です。
締切から逆算してスケジュールを考え、デザイナーさんやライターさんに仕事を割り振ります。
あがってきた誌面のクオリティを上げるために修正指示を出しつつ、関連会社とのスムーズで漏れのない連絡や関係構築も不可欠です。
もっと言えば、デザイナーさんやライターさんを育てる、書籍や大型企画提案のための関係を構築する、といった長期的な視点を持てると良いでしょう。
デザイン力 – Design
美しいビジュアルを作り上げるという狭義のデザイン力も必要ですが、本当に求められるのは下記のような誌面を最適に設計するという広義のデザイン力です。
- デザイン思考で企画を出す
- 誌面を見やすく設計する
根本的な問題を解決する企画を立て、それを読者に伝えるための誌面設計を考えます。
とことん読者の立場に立ち、「こんな誌面が読みたかった!」とうならせる誌面を追求するのです。
もちろん、最適に設計された誌面がデザインとして美しければ満点です。
流行のデザインやかっこいいビジュアル表現を知っておくことも求められます。
マーケティング力 – Marketing
ざっくり言ってしまえば、雑誌を売る力です。
マーケティング用語を使うなら、4Pを考える力とも言えます。
- Product(商品/サービス)
- Price(価格)
- Promotion(販売促進)
- Place(流通)
既存雑誌の編集者だと関われる範囲も少ないのですが、こういった視点は持っておくべきでしょう。
特に重要なのは雑誌を周知するプロモーション力です。
作った誌面の魅力をいかにアピールして購買につなげるか、を徹底的に考えます。
雑誌の廃刊も増えてきた現代において、「売る」の重要性は以前より高まってきているように感じています。
Web応用力 – Web
Webを使いこなす力です。
Web広告費も年々増大しており、自社でWebメディアを持つ会社も増えてきています。
雑誌の企画やプロモーションもWebとの連携が不可欠。
また、大抵のWebサイトにはWordPressを始めとしたCMS(コンテンツマネジメントシステム)が導入されており、管理や更新にもWeb知識が必要です。
Google ドキュメントやスプレッドシートなどのオフィス系に加え、SlackやChatworkといったチャットツール、BacklogやTrelloといったプロジェクト管理ツールなど、便利なWebサービスも続々登場しています。
こういったWeb知識を活用し、仕事を効率化する能力も求められています。
編集の現場では非対面インタビューが増えていますが、ZoomやGoogle Meetといったテレビ通話サービスの操作がわからなければ、それだけで不利になってしまうでしょう。
自分の強みを考える
雑誌編集者に必要な能力5つに分類しましたが、すべてを完璧にこなせる人はいません。
どの分野も極めればそれ単体でプロフェッショナルになれる専門能力です。
目指すべきは、全体的に平均以上の能力を持ちつつ、自分の強みとなる能力が2〜3個ある状態です。
優秀な雑誌編集者となるためには、全体の能力を底上げしつつ、一部の専門性を極めていく必要があります。
そういう意味では、何でも器用にこなせるけど突出した能力のないタイプに向いている職業だと言えるでしょう。