雑誌編集者の仕事は、取り扱う商品やテーマを、わかりやすく&読みやすく(おもしろく)誌面に落とし込んで読者に伝えることです。
誌面制作の流れ
1. 企画出し
基本は、読者が読んだ時に満足感を得られる企画を考えます。
考えた方が望ましいのは
- 形式(連載/単発)
- 欲しいページ数
- 概要(一文で表現)
- 目的と目標
- 実現可能性
- スケジュール目安
あたりです。プラスして
- 独自性
- 話題性
- 時代性
まで考えられると、より良い企画になります。
ただ、雑誌連載は厳しいスケジュールで動いているので、おもしろくて実現可能性のある企画というだけで通るのが実情です。
2. 取材・調査
企画内容にあわせてインタビュー・素材請求・調査などを行い、誌面に使用するための情報を集めます。
当たり前ですが、おもしろい情報がなければおもしろい記事にはなりません。
3. 情報整理・コンセプト作り
集めた情報を理解し、ページに収まるように取捨選択します。
その後、読者に何を伝えるのかというコンセプトを定め、わかりやすい形となるよう情報の構造や順番を決めていきます。
必要であれば補足情報を集めることもあります。
4. 誌面のレイアウトラフ作成
情報や画像を「誌面のどこにどのサイズ感で入れるか」を指示するためのレイアウトラフを作成します。
特に注意すべきは下記の点です。
- 記事タイトルのサイズ感が企画ページ数に合っているか
- 見出しの格がハッキリ分けられているか
- 目線の流れに違和感がないか
気を抜くと不自然なレイアウトになってしまいがちなので、とても難しい部分だと感じています。
他者に見てもらうことで初めて気づく違和感もたくさんあるため、この段階でアドバイスをもらうのは有効です。
5. デザイン依頼
レイアウトラフを元に、デザイナーさんに誌面デザインを依頼します。
レイアウト意図やデザインイメージをきっちり伝えることが非常に重要です。
自分もよくやってしまうのですが、編集者がラフ段階でデザインしすぎたために、最終的なデザインの幅が狭まってしまうのには注意が必要です。
6. デザインチェック
デザイナーさんからあがってきたデザインが意図通りになっているかをチェックし、不備があれば修正を依頼します。
誌面の完成イメージを持ち、デザインの良し悪しを判断する必要があります。
7. ライター依頼/ライティング
誌面デザインに原稿(文字情報)を入れるため、ライターさんにライティングを依頼します。
ページによっては編集者が直接ライティングすることもあります。
また、レイアウトラフ作成からライターさんに依頼する場合もあり、この辺りは編集者や誌面内容によって異なってくる部分だと思います。
8. 文章チェック/推敲
ライターさんからあがってきた文章が意図通りになっているかをチェックし、不備があれば修正を依頼します。
チェックすべきは、大きく分けて2点です。
- 文章として破綻していないか
- 間違った情報を掲載していないか
その他、細かいところで注意すべきは
- 読みやすくなっているか
- 異なる意味に捉えられないか
- ネガティブな表現になっていないか(差別語・不快語を取り除く)
- 人名・商品/サービス名を間違えていないか
- 著作権表記に間違いはないか
といったところでしょうか。
自分でライティングした場合は必ず推敲します。
推敲は別日に行うか、少なくとも一定時間後に行うのが望ましいです。
9. 裏付け
誌面ができあがったら、情報の正しさを確保するために裏付けをとります。
- 商品/サービスを取り扱っている会社に校正を依頼する
- 誌面に掲載している情報と、公式サイトや書籍等の信頼できる情報と見比べる
といったことです。
裏付けが甘くて誤報となった場合、関係各所に多大な迷惑をかけます。
雑誌編集者として一番注意しなければいけない工程です。
何も知らない存在という立場で誌面をチェックできるかどうか、これは編集において非常に重要な能力です。
10. 校正・校閲依頼
校閲者さんに、裏付けのとり終わった誌面の校正・校閲を依頼します。
- 誤字脱字がないか
- 文章として読みやすくなっているか
- 修正指示が反映されているかどうか
などをチェックしてもらい、情報のわかりやすさと正確性を高めて誌面のクオリティを上げます。
第三者のチェックという意味でも非常に重要な工程です。
11. 誌面完成
完成誌面を必要ページ分集めて、印刷所に入稿することで雑誌編集者の仕事は終わります。
その後、印刷所で印刷・製本されて雑誌ができあがり、取次が流通を手配することで全国の書店にて販売されます。