すべてが売買されるこの時代において、道徳的なものに値段がつくことを考えるお金の専門書です。
その本に恋した3文
罰金を料金として扱うとき、人々は罰金が表す規範を軽んじている。社会とは往々にしてしっぺ返しをするものだ。裕福なドライバーのなかには、スピード違反切符を、好きな速さで運転するための代価だと思っている人もいる。
出典:マイケル・サンデル「それをお金で買いますか──市場主義の限界」,早川書房
これら三つの事例──核廃棄物処理場の用地選定、慈善事業の寄付金集め、保育所への迎えの遅刻──から明らかになるのは、非市場的な状況にお金を導入すると、人々の態度が変わり、道徳的・市民的責任が締め出されかねないということだ。
出典:マイケル・サンデル「それをお金で買いますか──市場主義の限界」,早川書房
買い物客が反発している対象は、おそらく、このリンゴにつけられたこの広告ではなく、日常生活への商業広告の侵入なのだ。
出典:マイケル・サンデル「それをお金で買いますか──市場主義の限界」,早川書房
まとめの3文
道徳的観点と市場的観点の衝突。
今の世の中では、順番待ちから人の死までありとあらゆるものが売買されています。
道徳と経済の両視点から考えられなければ気づかぬうちに傾倒し、人として偏ってしまうことに気づけた一冊でした。
書籍情報
書籍タイトル | それをお金で買いますか──市場主義の限界 |
著者 | マイケル・サンデル 鬼澤忍(訳) |
出版社 | 早川書房 |